こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。
コーカサス地方の内陸国・アルメニア。
今回はその首都エレバンに4泊滞在し、歴史ある史跡や修道院、旧ソ建築、カフェ文化、美食、そして「チェスの国」らしいユニークな一面に触れました。
入国時には少し緊張する出来事もありましたが、滞在中は穏やかで安全。
この記事では、アルメニア旅行の基本情報と、実際に歩いて感じたエレバン市内の見どころをご紹介します。
アルメニアってどんな国?

南コーカサスに位置する小国・アルメニアは、古代から東西の文明・宗教・帝国が交錯してきた「文明の十字路」とも言われます。
四方をトルコ、ジョージア、アゼルバイジャン、イランに囲まれ、地政学的にも非常に複雑な場所にあります。
アルメニアの基本情報
- 正式名称: アルメニア共和国(Republic of Armenia)
- 首都: エレバン(Yerevan)
- 人口: 約280万人(うち首都に約100万人)
- 公用語: アルメニア語(独自の文字体系を持つ)
- 通貨: ドラム(AMD)
- 宗教: アルメニア使徒教会(世界で初めてキリスト教を国教とした国)
- ビザ: 日本人は180日以内の滞在でビザ不要
アルメニアの歴史と周辺国との関係

アルメニアは紀元前6世紀に王国として建国され、その後はローマ帝国、ペルシャ帝国、オスマン帝国、ロシア帝国など、数々の大国の支配と侵略を経験してきました。
はねうさぎ紀元前ということからもかなり古い歴史があることがわかります。
- 旧ソ連時代(1922〜1991)
アルメニアはソビエト連邦の一共和国として約70年間統治され、現在もロシア語が広く通じるなど、文化的・経済的にロシアとのつながりが深く残っています。
ツアー中に出会ったガイドさんはこう話していました。「旧ソ連時代は、国民が自分たちの歴史を語ることが難しい時代でした。独立後になってようやく、発掘や研究を通じて“アルメニアとは何か”を考えるようになったのです。」
この言葉がとても印象的でした。
独立後のアルメニアは、自分たちの文化とルーツを再発見しようとする新しい時代を迎えています。

- トルコとの関係
1915年のアルメニア人大虐殺をめぐり、現在も国交は断絶中。
陸路国境も閉ざされており、トルコ側からもトルコ側へも直接行き来できません。
それでも、食や音楽、建築の一部にはオスマン文化の影響が残っています。
はねうさぎアメリカのトランプ大統領がトルコとアルメニアの国交改善に取り組んでいるという噂もあるそうです。旅行者にとって陸路越えは切実な問題。今後に期待!

ペルシャのケバーブ文化を受け継ぎつつ、塩味と香ばしさで独自の進化を遂げた一皿。
©haneusagi.com
- イランとの関係
南に接するイランとは比較的良好な関係で、かつてペルシャ帝国の支配を受けた影響から、ペルシャ文化の装飾美や色彩感覚がアルメニアの芸術にも見られます。イランからの旅行者もいました。
はねうさぎまた、アルメニアの食文化にもペルシャ文化の兆候が見られます。アルメニア料理の約40%がペルシャ料理由来という説も(by ガイドさん)。
- アゼルバイジャンとの関係
長年にわたるナゴルノ・カラバフ紛争の影響で、現在も国境は実質的に閉鎖。
民族、宗教(キリスト教とイスラム教)、領土など複数の要因が絡む非常に複雑な関係です。
はねうさぎ私が入国時にアゼルバイジャンのスタンプについて質問を受けたのも、この緊張関係が背景にあると感じました。
アルメニアを旅行する際には、こういった歴史と地政学的に繊細な問題を事前にインプットしておくことをお勧めします。
なぜなら、「この○○はトルコでも似たのを見たよ」とか「アゼルバイジャンに行った時にもこういうものがあったんだ」などと、アルメニア(人)にとって友好的ではない対象との比較会話などは危険だからです。(たとえ事実がそうであっても…)
「アルメニア人だけどパスポートはジョージア」というドライバーさんにも当たったことがあり(ジョージアとは友好関係)、「色々と質問したいことが沢山あるわ!」と思っても、気を使い過ぎて微妙な気分になってしまいました。
旅で感じた「アルメニア人の誇り」

私たちが利用した終日観光ツアーのツアーガイドさんも仰っていましたが、アルメニアの人々は「自分たちのルーツを再発見する時代」を生きています。
現地の方とお話しすると、多くの人が強いアイデンティティと誇りを持っているのが伝わってきました。
度重なる侵略や戦争を経ても、文化を守り抜いてきた民族だからこそ、「アルメニア人であること」への意識がとても強いのだと思いました。
興味深いのは、国外に住むアルメニア人の数が国内人口よりも多いということ。
はねうさぎアルメニア系の有名人と言えば「キム・カダーシアン」のイメージが強い!ガダーシアン一家のファンの方はぜひアルメニアへ!
世界各地に移住したアルメニア人(ディアスポラ)が、文化・芸術・ビジネスの分野で大きな役割を果たしています。
はねうさぎ小さな国ながら、数千年の歴史と複雑な地政学を背負うアルメニア。その背景を知ると、エレバンの街の風景がより深く見えてきます。
入国時の注意点:アゼルバイジャンのスタンプに要注意

エレバン空港に到着早々、思わぬ質問攻めを受けました。
2018年にアゼルバイジャンを訪れた際のスタンプをパスポートに見つけた入国審査官が、「これは何だ?」「何の目的で行った?」「アルメニアではどこに滞在する?」「電話番号を言え」「帰りのチケットを見せろ」と、次々に質問してきたのです。
別室送りにはならなかったものの、かなり厳しい口調で、正直なところ少し怖いと感じました。
はねうさぎ日本パスポートのドイツ在住者で、アゼルバイジャンやジョージア(以外にも多くの渡航先)のスタンプがあるのを見て「スパイ」と疑った可能性も…(怖)
コロナ前の旅行だったのですっかり忘れていて、質問されたことに驚きました。
夫は新しいパスポートでアゼルバイジャンのスタンプがなかったため、特に何も聞かれずスムーズに入国できました。
おそらく、直近のナゴルノ・カラバフ紛争の影響によるもの。
アルメニアとアゼルバイジャンの関係は今も非常に敏感です。

エレバンの街歩きと見どころ

アルメニアの首都エレバンは、旧ソ国によくみられる特徴の大きく広い道路に街路樹が並び、清潔で街歩きを気軽に楽しめます。
ヨーロッパの他の国に見られるような「旧市街地」的な中世の雰囲気が残る歴史ある観光エリアはほぼないのですが、市内中心部は円形地形になっており、環状線的な大きな道路が走っているのでわかりやすいです。
共和国広場(Republic Square)

エレバンの中心にあるモダンで美しい円形広場。
かつてはレーニン広場として知られていた壮大な都市広場で、ピンク色の凝灰岩で造られた政府庁舎や美術館が並び、夜には音楽付きの噴水ショーも開催されます。
昼と夜でまったく異なる表情を見せる、市民の憩いの場です。
カスケード・コンプレックス(Cascade Complex)

市街を見渡す階段状のモニュメントでエレバン市内で絶対に外せないランドマークスポット。
はねうさぎ私たちは朝の時間帯と日没の時間帯の2回行ってみました♪
長い階段、美しく整えられた庭園、噴水、彫刻などが見どころで、中にはアートセンターがあります。
現代アートが並ぶ屋外ギャラリーのような空間で、最上部からはアララト山の雄大な姿を望めます。
昼も良いですが、夕暮れ時もとても素晴らしいのでぜひ夕方にも行ってみましょう。

はねうさぎ最上部まで登って、向かって左の方に歩いて行くと更に道と階段があるのでコンクリートデッキの最上まで登ってみましょう!

階段を登るのが大変な場合は、横に併設されている内部エスカレーターを利用できます。
内部エスカレーターでも様々なアート作品が展示されていてとても興味深いので、階段もエスカレーターも使ってみるのがおススメ!
オペラハウス周辺とカフェ文化

エレバン中心部のオペラハウス周辺は、緑豊かな並木道とカフェが立ち並ぶおしゃれなエリア。
ちょっとした人口の湖などがあり、親子連れがのんびり過ごしていて微笑ましい。

アルメニアコーヒーを片手にのんびり過ごす時間は、現地の人々の暮らしに溶け込むような感覚を味わえます。
ブルーモスク(Blue Mosque)

18世紀に建てられた、エレバンで唯一のペルシア様式のイスラム建築物。
イランのエリヴァン・ハン国のハーンであったホセイン・アリ・ハーンの命により建設されました。エレバン中心部に現存する最古の建造物の一つであり、イラン統治時代の最も重要な建造物です。
静かな中庭と青いタイルが印象的で、街の喧騒を忘れさせてくれます。
無料で入場できますが、入口で軽く挨拶をすると感じよく迎え入れてもらえます。
チェスハウス(Tigran Petrosian Chess House)

チェスが趣味の夫の希望で訪れた「チェスハウス」は、1970年に建てられた旧ソ風のモダン建築。
はねうさぎ年期を感じる建物でしたが、行った時には子供たちがチェスレッスンを真剣に受けている様子も目の当たりにし、興味深かったです。オシャレなカフェも隣接しているので休憩にも◎。
アルメニアのチェス文化を象徴する場所で、国内大会や国際イベントが開かれることもあります。
建物の名は、2000ドラム札に描かれたティグラン・ペトロシアン(元世界チャンピオン)に由来しています。
チェス好きな夫の希望でアルメニア2000ドラム紙幣に描かれているティグラン・ペトロシアンゆかりの地へ。彼はチェスの世界チャンピオン(1963年―1969年)で防御的なプレイスタイルで有名だったらしい。
— はねうさぎドットコム (@haneusagi_com) October 15, 2025
アルメニアでは学校教育にチェス♟️が取り入れられているそうです。#エレバン pic.twitter.com/Q96Ggl5CJN
アルメニアではチェスが小学校の必修科目になっており、国を代表するスポーツと言えるほど人気があります。

はねうさぎ電車の中でも、スマホでチェスゲームをする若者に出会いました。

観光客でも外観見学や写真撮影ができ、文化的スポットとしてもおすすめです。
ヴェルニサージュ市場(Vernissage Market)

チェスハウスから徒歩圏内にある青空マーケットで、絨毯や銀細工、木工製品などの伝統工芸品が並び、お土産を探している人にぴったりです。
中でも目を引いたのは、ザクロを形どった置物やアクセサリー、木製のチェス盤や駒、ガラス細工のチェスセット。

市場のあちこちでチェス製品が売られており、アルメニア人にとってチェスが生活の一部であることを感じました。
はねうさぎスペインからチェスボードを買いに来たという男性にも会いました。
値段は交渉次第なので、気になるものがあれば積極的に話しかけてみましょう。
アルメニアで英語はどれくらい通じる?エレバンの治安と旅のヒント

アルメニアの首都エレバンは、旧ソ的な雰囲気と現代的なレストラン・カフェ文化が共存する、居心地のよい都市でした。
街は清潔、地下鉄(メトロ)があるのも旅行者には嬉しいし、なんと言っても知られざる美食の数々には驚きました!

人々は親切で、若い世代を中心に英語もかなり通じます。
事前情報では「アルメニアではほとんど英語が通じない(その代わりロシア語はほぼ100%通じる)」と聞いていましたが、実際には市内中心部では英語で会話できる場面が多く、驚きました。
話を聞くと「IT関連で働いていれば英語は必須」という声もあり、納得。
エレバンには近年、IT・スタートアップ企業が集まるハブ的存在があり、グローバル企業の支社や若手エンジニアが多く活動しているそうです。
その影響で、街全体の「英語力が底上げされている」印象を受けました。
ある1日をツアーで回ったのですが、ツアーガイドさん自身も以前はIT企業で働いていたそうで、数年前の人員削減を機に観光業へ転職したとのこと。
「技術も語学も持つ若者が多い国なんだな」と、若いパワーを実感した瞬間でした。
はねうさぎこれが、ちょっと離れた場所(例えばエレバン中央駅周辺)に移動すると一気に英語が通じなくなります。
市内移動は、地下鉄もありますが、エレバンのメトロのチケットシステムは非常にややこしい!ので、徒歩か、配車アプリ「Yandex Go」を使うのが便利です。

治安も全体的に良く、夜の散歩も安心して楽しめます。
はねうさぎとは言え、旅先なので最低限の安全対策と注意を!!
何と言っても、相対的にアルメニアの方々はフレンドリー。
メトロのシステムがややこしかった時にも若い女性が自分のスマホアプリを使って助けてくれ、電車に乗ることができました。
旅の安全には気を付けつつ、ぜひ楽しいエレバン観光を楽しみましょう!




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