こんにちは!はねうさぎです(@haneusagi_com)です。
ドイツのカーニバルシーズンが近づくと、街は華やかな装飾と共に、美味しそうなお菓子で溢れます。
特に人気なのがドーナッツ類ですが、その名前が「クラプフェン」「クレッペル」「ベルリーナー」「プファンクーヘン」と地域ごとに異なるのをご存知ですか?
「カーニバル」と聞くとリオデジャネイロを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はドイツのカーニバルも大規模で個性豊かです。
特に有名なのは、ケルンを中心とした西部や南西部の都市で、2月の「バラの月曜日」や「灰の水曜日」を中心に賑やかなパレードやイベントが行われます。
日程は毎年変わるため、その年のタイミングに合わせて楽しむのが醍醐味です。
カーニバル気分を味わいたい方におすすめなのが、この時期にパン屋やケーキ屋に並ぶ「ドーナッツ」。
しかし、このドーナッツにはドイツらしい「ご当地文化」が隠されています。
名前が地域によって異なり、日本で言う「今川焼」「大判焼き」「回転焼き」のような現象がここでも見られるのです。
今回は、カーニバルシーズンにドイツで愛されるドーナッツ「クラプフェン」と、そのさまざまな呼び方についてご紹介します!
ドイツのカーニバルシーズンに食べるおすすめのドーナッツ特集

ちなみにドーナツと言っても日本で良くあるリング型の真ん中に穴が開いている物と言うよりは、アンドーナッツ、クリームドーナッツ、または揚げパンのような形状をしています。
興味深いことに「ドーナッツ(Donut)」という名前は中世にまでさかのぼることができます。
四旬節の前に、人々は特に美味しい脂肪分の多い食べ物を食べました。
現在のドイツでも、「灰の水曜日」までは暴飲暴食(?!)し、その後にイースターまでの間、断食や軽食、断酒などをする人もいます。
古いドイツ語の「クラフォ(Krapho)」や「Krapfe(クラプフェ)」は、湾曲した形状の「鉤爪(かぎづめ)」を意味し、この形状から当時のペイストリーを焼いていたというのが定説です。
この形は寒い時期に悪い呪いや魔女、幽霊から人間を守るものと信じられていました。
現在ではドイツやオーストリアなど多くの場所で「クラプフェン」として販売されています。
どの地域からどのようにして「クラプフェン(Krapfen)が生まれたのかは諸説があるそうです。
南ドイツやオーストリアでは「クラプフェン(Krapfen)」

私が住んでいるバイエルン州やウィーンを首都とするオーストリアなどでは「クラプフェン」と呼ばれています。
※オーストリアでは「Faschingskrapfen(ファッシングス・クラプフェン)」とも呼ばれているようです。
※バーデン=ヴュルテンベルク、プファルツ、サーランド州エリアでは「Fastnachtsküchle(ファシングス・クーラー/クーレ)」と言うようです。ミスドで何とかクーラーというドーナッツありましたね。
このクラプフェン、ドイツ国内で訪れる場所が違うとネーミングも変わってしまうと言うややこしいモノ。
他の地域ではなんと呼ばれているのでしょうか。
ヘッセンではこのドーナッツを「クレッペル(Kreppel) 」
ヘッセンではなんと「クレッペル(Kreppel または Kräppel)と呼ばれていまして、名前は似ていますが初めて聞いた時には「ん・・・?!」一瞬、読み間違えたかな?!と思ってしまいました(苦笑)
つまり、フランクフルトへ行ったら「クレッペル」と呼びますが、ミュンヘンへ行ったら「クラプフェン」となるわけです。
ヘッセン以外でクレッペル(Kreppel)と呼ばれている地域は、ラインヘッセンとテューリンゲンです。
もう少し別の場所も見てみましょう。
ドイツの首都ベルリン発祥?!「ベルリナー・プファンクーヘン(Berliner Pfannkuchen)」
以前、はねうさ夫とベルリンへ行った時に、カーニバルシーズンでもないのにこのクラプフェン(ドーナッツ)が普通にパン屋さんに並んでいて、夫はかなり驚いていたのを覚えています。
一般的には、ベルリン発祥とのことで「ベルリナー・プファンクーヘン(Berliner Pfannkuchen)『ベルリンのパンケーキという意味』」と呼びます。
「ベルリナー・プファンクーヘン」は、小サイズの甘いペーストリー「Teilchen(タイルヒェン)」の事なのですが、当時プロイセン王だったフリードリヒ2世のお達しにより、ベルリンのパン屋が作ったもので、このTeilchen(タイルヒェン)は、「ベルリナー・プファンクーヘン」と呼ばれるようになりました。
当時のペイストリーは、油で揚げ鍋(Pfanne)を使って揚げていたため、この「Pfannkuchen(直訳でフライパンで作るパンケーキ)」という名前になったのだとか。
このベルリンで見たドーナッツの形が、ボストンに住んでいた時のダンキン・ドーナッツのスペシャルご当地版「ボストン・クリーム」に似ていたので「あのパン、何だろう?おいしそう!」と、はねうさ夫に質問しましたが「わからない」と言われたので「なんで!?」と質問攻めにしたのを思い出します・・・(笑)
なぜなら、バイエルン州では「ベルリナー・プファンクーヘン」という名前のものは売っていません(そのかわり「クラプフェン」ね・・・w)= ものは一緒。
ただ、ベルリン市民は何と呼んでいるかというと、「Belriner」は省略されて「Pfannkuchen(プファンクーヘン)」と呼ばれています。
ドイツの東地域は「プファンクーヘン」=パンケーキ?!
調べていくうちに、ベルリン、ブランデンブルクやザクセンに行くと「ベルリナー・プファンクーヘン」のベルリナーが抜けて「プファンクーヘン」や、「アイヤークーヘン」と、単純に「パンケーキ」を意味する単語がこのクラプフェンに使われるというサイトも見受けました。
プファンクーヘンって、単純に「パンケーキ」の意味なんだけど・・・紛らわしい!
(そちらの地域にこの時期に行ったことが無いので詳細は私の体験では無く、ネット上で調べたものをこちらに書いていますが・・・)
ドイツで単純に「Pfannkuchen(プファンクーヘン)」というと、フライパンで焼いたパンケーキやホットケーキ、時にはクレープのような物を指すことが多いのですが、ある地域に行くとあのドーナッツを「プファンクーヘン」と呼ぶとなると、これはかなりややこしいですね><
ラインラント地域ではシンプルに「ベルリナー(Berliner)」
「ラインラント」とは、ドイツ西部、ライン川沿岸の一帯を指す地方の名称で州の名前ではありません。
中世からの話ですからね( ^ω^)・・・
Wikipediaを調べてみると
ラインラント=プファルツ州のほぼ全域とノルトライン=ヴェストファーレン州西部を中心に、ヘッセン州西部、バーデン=ヴュルテンベルク州北部にまたがる。
とのことです。
つまり、ざっくりドイツの西側地域では(先ほど言ったヘッセンはまた別なのですね!地理難しい)、「ベルリナー・プファンクーヘン」はベルリンの物…という事で、単純に「ベルリナー」と呼ばれているそうです。
また、ドイツ北西のメクレンブルク地域やスイスでも「ベルリーナー」と呼ばれているようですね。
ちなみに・・・グーグル検索で「Krapfen Rheinland」と入力して画像検索をしてみると、バイエルンでこのカーニバルシーズンに売られている「Krapfen(クラプフェン)」とは全く違うドーナッツの写真が出てきます!(以下写真の一例)

小学生の時に作ったシンプルな一口サイズの揚げドーナッツに似ている・・・これは何のフィリングも入っていない模様です。
ややこしい!!!?
ドイツのカーニバルスイーツは全部美味しい「ドーナッツ」!でもこれだけは注意を

「クラプフェン」、「ベルリーナー」、「ベルリーナー・プファンクーヘン」、「クレッペル」・・・(他にもうちの地域こんな呼び名あるよ!というのがあれば教えて欲しいです)。
Wikipediaさんの力を借りてまとめますと・・・
Berliner: Westdeutschland (ohne Hessen und Bayern), Mecklenburg, Schweiz
Berliner Ballen im Raum:Ruhrgebiet/Sauerland/Niederrhein
Faschingskrapfen: Österreich, Schwerpunkt in Tirol, entsprechend dem Verbreitungsgebiet des Begriffs Fasching
Glaskrapfen: Österreich, Hausruckviertel und Traunviertel
Fastnachtsküchle/-küchelchen: früher Baden-Württemberg und Pfalz/Saarland
Kreppel: Hessen, Rheinhessen (Rheinland-Pfalz), Thüringen
Krapfen: Bayern und Österreich
Pfannkuchen: Ostdeutschland (ohne Mecklenburg)
Puffel: Aachen und Umgebung
呼び名は色々ありますが、全部ほぼ同じカーニバル時期に食べるドーナッツ。(一部地域年中販売)
「クラプフェン」の中身はジャムのフィリングが入っていて、上に粉砂糖が振りかけてあったり、アイシングで色やデコレーションが付いている可愛いモノもあります。
名前は違えど、ぜ~~んぶハイカロリーでとっても美味しいスイーツですヨ❣(笑)
ただ、気をつけなければいけないのが、カーニバルシーズンに食べる「クラプフェン」には地域別にいろいろな呼び名があるという事。
「クラプフェン」をあのフィリング入りのドーナッツだと思っていたのに、違う街へ行ったら別のお菓子だったり、パンケーキだと思ってたのにドーナッツだった・・・なんてこともあるという事です。
あるドイツ人のブログを読んだのですが、色々な地域出身者のドイツ人同僚がいる場合、この「クラプフェン」の種類や作り方、フィリング、ネーミングだけで仕事をする時間が無くなるくらいディスカッションができるので、仕事をしたくない日にはこのトピックを話しましょう!と書いてありましたw
ケルンの2021年カーニバルの情報はこちらのサイトからご覧いただけます。
「クラプフェン」を食べながらこの騒動が収束することを妄想します・・・来年は楽しいカーニバルパレードを楽しめることを願ってやみません。

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