ヴュルツブルクの夜を彩るワインの祭典:Nacht der offenen Weinkeller(夜のワイナリーオープンハウス)

こんにちは!はねうさぎです(@haneusagi_com)です。

ドイツのヴュルツブルクは、美しいワインの町です。

11月のある夜、街全体が喜びに満ち、ワイン愛好家たちが一堂に集うイベントがあります。

その特別な夜のイベントは、「Nacht der offenen Weinkeller(夜のオープンセラー)」と呼ばれています。

このイベントでは、ヴュルツブルクの4カ所のワイン醸造所にあるワインセラーが一般公開され、訪れる人々に特別な体験と魅力的なワインの世界を提供してくれます。

夏から秋にかけてのワイン祭やビアガーデンならぬ「ワインガーデン」もとても楽しいですが、寒くなったドイツの夜の街でワイナリーポッピングするのも趣があってとても楽しいです。

この記事では、このワインイベントについて詳しくご紹介します。

2024年の夜のオープンハウスは11月23日に開催されます。

記事の内容には、私が実際に2017年に行ったオープンハウスでの写真や雰囲気を交えてお伝えします。

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目次

ヴュルツブルクの魅力を味わう夜

ドイツのヴュルツブルクはバイエルン州に位置しています。

ヴュルツブルクは、美しいバロック様式の建築やヴュルツブルク城(要塞)、世界遺産に登録されているヴュルツブルク・レジデンツなどの歴史的な観光名所で知られています。

また、ドイツのワイン特定栽培地域13ヵ所のひとつである「フランケン(Franken)」の中心的な街として、ワイン生産でも有名であり、ヴュルツブルク周辺は、美しいワイン畑が広がる景色と高品質なワインで訪れる人々を魅了しています。

ヴュルツブルクの魅力を味わう夜は、ワイン愛好家や国内外の観光客にとって、ちょっと特別な体験になること間違いなしです。

この夜のイベントが何故特別なのかと言うと、通常は有料ツアーや一般公開していない各醸造所のワインセラーがこの日の夜だけ無料で一般公開されるため、ワインセラーが特別なステージとなり、フランケン地方のワインの多様性と美味しさを楽しむことができるからです。

何度も言いますが、入場無料!

通常は、これらのワイン醸造所のワインセラー(ドイツ語ではWeinkeller:ワインケラーと言います)に入るには、週末だけのツアーなど限定された日程で入場料を支払ってツアーに参加する必要があるのですが、この日だけは4つ全てのワインケラーに入場無料!

また、ワインセラーの中で生演奏や美味しい料理もいただけるので、素晴らしい雰囲気の中でワインを楽しむことができますよ!

ヴュルツブルクへは、フランクフルト中央駅からICEで約1時間10分、ミュンヘン中央駅からICEで約2時間です。

ドイツ・フランケンワインの特徴【ミネラル感あふれるキリっとした辛口白ワインが主流】

Weingut Bürgerspital のボックスボイテル瓶いりリースリング ©haneusagi.com

フランケンワインは、ドイツのフランケン地域(Franken)を代表するワインで、伝統的なボックスボイテル(bocksbeutel)と呼ばれる平ぺったく丸い形のワインボトルが特徴です。

フランケンワインの中心都市は、ヴュルツブルク(Würzburg)。

バイエルン州というと、州都のミュンヘンのイメージに引っ張られて、ワインの生産よりもビールのイメージが強いと思いますが(実際にミュンヘンっ子でバイエルン州にドイツ特定ワイン地域がある事を知らない人も多い)、美味しいワインもいただけます。

フランケン地方の主力銘柄の1つは、シルヴァーナ種を使用したワインです。

ドイツワインの多くは、リースリングですが、フランケンで最も多く栽培されているのがシルヴァーナです。

糖分がかなり低い辛口の、とてもニュートラルでクリアな味わいなので、日本酒愛好家やフランスのブルゴーニュ地方の白ワインが好きな方におすすめ。

フランケン地域のワインは、全体的に爽やかでフルーティーな味わいが特徴であり、シルヴァーナ以外では、ミュラー・トゥルガウ品種やリースリングも人気です。

特徴的なボックスボイテル瓶のワインは、ドイツ国内でもこのフランケン地域で厳選されて生産されたワインにしか使用できません。

ですから、もしフランクフルト空港やミュンヘン空港のお土産コーナーで見つけた際には「フランケンワインだな」と一発でわかるのです。

Nacht der offenen Weinkeller(夜のオープンワインセラー)ではシャトルバスで安全に移動

このイベントを主催している4カ所のワイナリーは、VDP(ファオ・デー・ぺー)と呼ばれる、ドイツプレディカーツワイン醸造所連盟(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)のメンバーワイナリーです。

VDPは、ドイツのブドウ畑の格付けを推進している生産者団体で、加盟ワイナリーはこの鷹のロゴが特徴的なVDPのマークをボトルにつけて販売することができます。

そして、この夜のワインセラーオープンハウスが開催されるのが、ヴュルツブルクにある以下4つのワイナリー:

  1. Weingut am Stein
  2. Weingut Juliusspital
  3. Weingut Bürgerspital
  4. Staatlicher Hofkeller

2番のWeingut Juliusspitalから4番のStaatlicher Hofkellerの3醸造所は、ヴュルツブルクの旧市街地に位置しているので移動は楽なのですが、ワイン畑の中に位置している1番のWeingut am Steinは、市街地から離れています。

さらに、市街地から線路を挟んで反対側へ移動しなければいけないため、徒歩移動は可能ではありますが、夜という事もあって治安面で心配。

そこで、市内のワイナリーとWeingut am Steinの間を往復するシャトルバスが15分ごとに運行されています。

最初のシャトルバスの発車は、バルバロッサ広場から午後5時30分に発車し、次にレジデンツ広場、その後にWeingut am Steinに止まり、循環します。

往復チケットの料金は 1 人あたり 2.50 ユーロで、イベント期間中のみ有効です。

私が行った2017年のイベントは、17:00からだったのですが、街に到着したのが20:00時前だったので、4つのケラーを回ることは断念し、有名どころのユリウスシュピタールとホーフケラーを回ることにしました。

無料ということでケラーの入り口前には長蛇の列が・・・入場までに30~40分待ちでした!

入場無料ではありますが、ケラー(セラー)内でワインを飲みたい場合には、ワインを購入しないといけません。(ツアーの場合はワインのテイスティング料金が含まれている場合が多いようです)。

夜の寒い中長蛇の列で待つのは忍耐力が必要ですが、ケラーの中に入った時にはその何とも言えない素敵な雰囲気に待ち時間は忘れるほどです。

4つのワイナリーが集まる夜のオープンワインセラー:Weingut am Stein

Weingut am Stein(ヴァイングート・アム・シュタイン)は、モダンなアプローチと伝統的なワイン製法を組み合わせて、高品質なワインを生産しているワイナリーです。

特に、シルヴァーナーやリースリングなどの白ワインが評価されています。

近年ヴァイングート・アム・シュタインは、生産ワインを全てオーガニック栽培生産に移行し、地元のテロワール(土地の特性)を最大限に活かし、独自のスタイルでワインを醸造しています。

ワインケラーでは、フランス製の卵型コンクリートエッグのタンクを見る事ができ、独自のスタイルを貫いたワインつくりをしていることがうかがえます。

〇Weingut am Stein(ヴァイングート・アム・シュタイン)

Mittlerer Steinbergweg 5
97080 Würzburg
Phone +49 (0) 9 31 / 2 58 08
Fax +49 (0) 9 31 / 2 58 80
https://www.weingut-am-stein.de/

4つのワイナリーが集まる夜のオープンワインセラー:Weingut Juliusspital

P1030653.JPG
©haneusagi.com

一度はその名を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、日本でも有名なフランケンワインを代表する有名な醸造所。

その歴史は古く、1576年に、領邦司教ユリウス・エヒター・フォン・メスペルブルンによって設立されました。

ドイツ国内でも最も有名な醸造所の一つとして知られています。

ユリウスシュピタールの白ワインは、さっぱりとした口当たりでフルーティーなので和食にも合う親しみやすい飲み口が特徴で、日本人にも人気。日本からの観光客は必ず購入すると言っても良いワインの一つ。

こちらは醸造所だけでなく、今日もなお病院、老人介護施設、介護士養成職業学校などを経営している福祉団体。所有畑は172ヘクタールに上り、2008年から一部の畑でビオ栽培(オーガニック栽培)を実践しており、徐々にビオの割合を増やしていっているとのこと。

収穫期には、朝一番にビオのぶどうを収穫して圧搾などの作業を行い、その後、通常栽培のぶどうを運び込んでいるそうです。

産者団体「VDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)会員。

醸造所と同じ敷地内にレストラン「Juliusspital」が併設されており、ワインとともに郷土料理を味わうことができます。

夜というのに、このイベント入場のため、40分くらいは並んだかなあと思います。

意外だったのは、こういった伝統的なワインケラーには割と年配の観光客を多く見かけるのですが、夜ということもあってか、オシャレした若者が沢山!

いよいよケラーの中へ入ることができ、その広さ、回廊の長さ(250Mはあるらしいです!)に驚き、地下にこんなスペースがあったのか!?と、またまたとても驚きました。

ケラーの中では音楽がかかっているDJエリアがあったり、ワインを購入して座って飲めるエリアがあったりとアトラクション感満載!

来場者は、ワイン樽の横に立ってワインを飲みながら友達と会話を楽しんだり、写真を撮ったり踊ったり・・・、そこはワインケラーというよりかは、まるで巨大なクラブのようでした。

とっても雰囲気が良かったです。

私達もワインを購入して座れる空間でゆっくりとワインを味わいました。

沢山の樽に素敵な彫刻が施されていて、ユリウスシュピタールの伝統と、今でもそのゆるぎない人気を保つモダンさとの融合が素敵でした。

私はスパークリングワインを、はねうさ夫はリースリングを注文しました。

こちらでもやはりグラスはデポジット式で、グラスをバーカウンターへ持っていくとデポジットを返金してくれるシステムです。

図1.jpg
美しいワイン樽の彫刻(左)とケラー内の長い回廊(右) ©haneusagi.com

〇Weingut Juliusspital(ユリウスシュピタール)

Klinikstraße 1
97070 Würzburg
Phone +49 (0)9 31 / 3 93 14 01
Fax +49 (0) 9 31 / 3 93 14 14
https://www.juliusspital-weingut.de/

4つのワイナリーが集まる夜のオープンワインセラー:Weingut Bürgerspital

Weingut Bürgerspital(ビュルガー・シュピタール醸造所)は、ヴュルツブルクにある歴史あるワイナリーで、フランケンワインの特徴的で有名なボトルの形であるボックスボイテルを発明したワイナリーと言われています。

ちなみに、このワイナリーは「地球の歩き方」ガイドブックにも載っています。

ビュルガー・シュピタールは、1256年に設立され、数世紀にわたって伝統的なワイン製造を行ってきました。

ビュルガー・シュピタール醸造所は、フランケン地方で最も重要なワイナリーの1つであり、シルヴァーナーやリースリングなどの高品質なワインを生産しています。

また、 1316 年に設立された併設されている市民病院で、1日1杯のワインが提供されていることでも有名です。

ワイナリーの収益の一部は、地元の病院や慈善事業に寄付されています。

ビュルガー・シュピタールのワインセラーには、ステンレスタンクが採用されており、素朴なワイン樽と対照的で、モダンな雰囲気を醸し出しています。

〇Weingut Bürgerspital(ヴュルガーシュピタール)

Theaterstraße 19
97070 Würzburg
Phone +49 (0) 931 / 3 50 34 41
Fax +49 (0) 931 / 3 50 34 44
https://www.buergerspital.de/wineestate/winetasting/index.html

4つのワイナリーが集まる夜のオープンワインセラー:Staatlicher Hofkeller

P1030659.JPG
©haneusagi.com

ホーフケラーと呼んでいる醸造所は、世界遺産にも登録されているヴュルツブルクのレジデンツの地下にあります。

こちらも、通常は、週末の限られた時間のツアーでしか入場することができません。

また、ホーフケラーは、「ドイツで最も美しいワインケラーの一つ」とも言われており、行ってみたいなあ~と常々思っていました。なので、今回はユリウスシュピタールの後、ホーフケラーへ行ってみることにしました。

途中、ヴュルガーシュピタールも覗いてみたのですが、やはり長蛇の列だったので、時間を考えてホーフケラーに行くことにしました。

ヴュルガーシュピタールとシュテインに関しては、今回はあきらめました。

ホーフケラーは、現在はバイエルン州の州立醸造所。

18世紀初めに、ヴュルツブルグの司教が莫大な財力を費やし、豪華な宮殿を建設するよう命じて建設されたのがレジデンツ。

その際に最も重要視されたのは、「最高のワインセラーを備えていること」でした。

建築家の、バルタザール・ノイマンによってデザインされたこの宮殿は、この地方のバロック建築の中で最も重要な建物の1つです。

このレジデンツのフラスコ画は、ヴェネチア出身の画家ジョバンニ・バティスタ・ティエポロによるもので世界最大級のフレスコ画と言われています。

レジデンツのほとんどの部分が第二次大戦により破壊されてしまったのですが、このフレスコ画だけは破壊されず残ったのがスゴイ!

このレジデンツの地下にあるのがホーフケラー。

キャンドルライトに照らされた回廊と丸天井がとても印象的でした。

天井はユリウスシュピタールのケラーよりもかなり高く「こんな地下空間があるなんて!」とまたまた驚きました。

ケラーには素敵なシャンデリアもあり、何とも言えない神秘的かつ芸術的な空間でした。

軽食も販売されており、小腹が空いていたのでハムチーズのパンを購入。

こちらのケラーもとても広く(ユリウスより広いかも)、古いケラーと新しいケラーがあり、その2つの空間をつなぐ回廊には、ホーフケラーの歴史が年代ごとにパネルで展示されていて興味深かったです。

しかしこちらもドイツ語の為、もっとドイツ語を頑張らねば・・・。

ケラー内ではDJはもちろん、アコーデオンなどの伝統音楽の演奏もあり、地元出身者はワインを飲みながら楽しく歌って踊っていました。

図2.jpg
新旧ワインケラー間の通路にはパネル展示。写真右はノルウェー皇室のゲストが来た時の様子 ©haneusagi.com

〇Staatlicher Hofkeller(州立醸造所シュタートリッヒャー・ホーフケラー)

Residenzplatz 2
97070 Würzburg
Phone +49 (0) 9 31 / 3 05 09 31
Fax +49 (0) 9 31 / 3 05 09 67
https://www.hofkeller.de/

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まとめ

このイベントは、この地域出身のはねうさ夫にとっても初めて行くイベントだったようで、はじめは長蛇の列にイライラしていたのですが(彼は待つのが嫌いらしい)、ケラーの中に入った時はさすがの彼も、「思った以上に良い雰囲気かも・・・」と気に入った様子。

ホーフケラーの時は、セキュリティーチェックがあり、まあ、このご時世だししょうがないよね・・と思いましたが、思ったより待ち時間も少なく入場することができました。

入場の為に並ぶのは覚悟しておいたほうが良いです。

また、私たちは歩いて移動しましたが、ワインを飲むということで、4つのケラーの間には無料のシャトルバスが走っているので、シャトルを利用することも可能。

夜のワインケラーオープンハウスは、一つのワインイベントとしてとても楽しいものだと思いますが、これを機にワインケラーの歴史やブドウの品種などの情報についても、もう少し知識を増やしたいなあと実感したので、今度は、通常のワインケラーツアーに参加してみたいです。

ユリウスシュピタールのワインケラーのツアーでは、350年前につくられた薬局なども見学することができるようなので(こちらはツアーでしか見学できない模様)、ツアーはツアーで参加する意義があると思います。

ヴュルツブルクまでの行き方

ヴュルツブルクへは、フランクフルト中央駅からICEで約1時間10分、ミュンヘン中央駅からICEで約2時間です。

フランクフルト国際空港駅からもICEの直行があります。

11月にドイツへ来る予定がある場合には、この夜のワインワークショップのイベント情報をチェックしても良いと思います!

こちらがNacht der offenen Weinkellerイベントの詳細情報(ヴュルツブルク市の公式サイト)ですのでチェックしてみてくださいね。

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この記事を書いた人

旅行、おいしいもの・ワインが大好きのドイツ在住40代。旅行、デザイン&アート、国際結婚ネタ、語学学習(英語・ドイツ語)のヒントをお届けします。20代後半にアメリカでインターン経験。現在はフリーランス翻訳家。ひょんなことから2017年7月11日より南ドイツ在住。干支と小動物風な行動により、幼少時に父親から「うさ」と呼ばれて育つ。その最愛の父は2021年に他界。気ままに書いてます~
プロフィール詳細は「はねうさぎ」をクリックしてね!
★TabiTabiさんに寄稿した「旅行記」
https://tabi-two.com/posts/9

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