「ドイツ国籍取得する?」ドイツへ帰化するメリットとデメリット

こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。

私達の結婚式にもベスト・マンとして出席してくれた、はねうさ夫の大親友に会うと毎回質問されることがあります。

それは、「ドイツ国籍取得するの?」

です。

今回の記事では、この友人からの質問を考えつつ、ドイツ在住の自分がドイツ国籍を取得するメリットとデメリットを考えてみます。

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目次

日本のパスポートとドイツのパスポート:多重国籍について

なぜはねうさ夫の友人からこの質問を受けるのか、いつも自分なりに分析しているのですが、実は彼は現在イギリスに住んでおり、彼の結婚相手はイギリス人です。

そう、私と状況がが似ています。

イギリスは二重国籍(多重国籍?)を認めていますが、ドイツは基本的に特例を除き、二重国籍は認めていません。

当然ですが、日本も二重国籍は認められておらず、他国の国籍を取得する際には日本国籍の放棄を宣言する必要があるようです。

とは言え、片方の親が日本国籍で、もう片方がアメリカなどの二重国籍を認めている国の子供などの場合、いわゆる「隠れ二重国籍者」という方も一定数いると言われています。

また、私の元同僚などは、「両親は日本人だけど生まれはアメリカなので、日本とアメリカの2つのパスポートを持っている」という人もいます。

ただ、彼女曰く「大学卒業してからはずっと日本に住んでいるし、正直アメリカパスポートはもうあまり使っていないからどっか箱にでも入ってるんじゃないかな・・・もう必要ないし」との事でした。

確かに、日本のパスポートでは90日までならビザなしでアメリカやカナダへも旅行は可能ですし、日本のパスポートは世界で一番信用度があります。

イギリスのコンサルティング会社「ヘンリーパートナーズ」が2020年度のパスポートグローバルランキングを発表し、昨年に引き続き、2020年時点で日本が1位とのことです。

※ちなみにこのリンク張ったCNNの記事によると、今やアメリカパスポート(のみを取得している場合)は、メキシコより不利・・・という事みたいです。

パンデミックの影響や変わりゆく世界情勢で、多少変更になった部分はあるにしても、日本国籍保有者は191か国をビザの取得をする必要が無く旅行をすることができます。

ちなみに、ドイツパスポートでは189か国で世界第三位です(2020年時点)。

ですから、旅行大好きな私達夫婦(ドイツ国籍の夫)にとっては、海外旅行はかなり気楽ですし、ドイツのパスポートじゃなくても日本ので充分ハッピーだと感じています。

勿論、この数字はノービザで旅行できる国の数を表している為、例えば、日本国籍者にはノービザでOKだけどドイツ国籍者にはビザが必要、またはその逆の国もあります。

ドイツのパスポートは、アフリカや南米諸国に強くて、日本はアジア諸国への入国に有利という特徴があるかなと思います。

話が長くなってしまいましたが、イギリスがEUから離脱する(した)ため、その「ドイツ国籍取得するの?」といつも聞いてくるはねうさ夫の友人は心配している模様。

結婚相手の出身国に「外国人」として住んでいるという同じ境遇の私が、その国の国籍を取得するのかどうかという事にとても興味があるようなのです。

パスポート(国籍)イコール「〇〇人」ではない時代

Source: Afar

先日書いた記事の中で、ドイツの「オリエンテーリングコース」といういわゆるドイツの帰化テストを受けたい人用(そして、ドイツに永住目的の移民及び難民向け)の授業を受けた話をしました。

この時に、「自分にとって『〇〇人』である」とはどういう意味なのか?という事をクラスメートとディスカッションする授業がありました。

  • 日本生まれ日本育ちだけど両親が中国出身の場合はどうなる?
  • アメリカ生まれだけど両親は日本人で人生の半分半分を両方の国で育った場合は?
  • お父さんがベトナム人でお母さんがポーランド人だけどドイツ生まれドイツ育ちの友人は?
  • 祖父母がトルコ出身でガチでトルコ文化に浸った生活してるけどドイツ国籍を持っている彼は何人と言えるのかな?

などなど、色々なケースで「その人は何人か?」という事を考える授業でした。

最近話題になったので知っている方もいるかもしれませんが、テニスの大坂なおみ選手など、プロのアスリートの場合には1か国に国籍登録を決める必要がありますし、国によっては政治家に重国籍者や他国籍者を認めていない国家もあります(日本はそうですね)。

ちなみに、私の友人のお子さんは、日本人とイタリア人のミックスですが、オーストリア生まれのドイツ育ちで国籍は日本です。(オーストリアは出生地国籍を認めていないそうです)

こういう場合はその人のアイデンティティは何になるのでしょうか。

「パスポートはAだけど、教育はBと言う国から受けた、だから国籍上はAだけど自分はB人だと思っている」という人もいる事でしょう。

また、全く文化の違う異国間で二重国籍を取得している混血の子供の場合は自分を何人と思っているのか?(例えば日本とドイツの、いわゆる「ハーフ」の子供の場合等)

自分は、両親も祖父母もそう祖父母も日本生まれの日本育ち(のはず)なので、仮に自分が日本国籍を放棄してドイツパスポートを取得したとしても「自分は日本人だ」と考えるし、パスポートを取ったからと言ってドイツ人にはならないよなあと、思います。

また、ドイツパスポートを取得したい人にも事情があり、例えば私のクラスメートだったルーマニア人(EU市民)や、ペルー人の子なんかは「ドイツパスポートの方が色々な国へ旅行できて便利、仮に将来EU以外の国で働くチャンスがあれば、ドイツパスポートの方が有利だから」という理由でドイツパスポートが欲しいと考えている人もいました。

これらを考えると、日本人って恵まれているよな、と思うと同時に日本人で良かった!日本ってやっぱり素晴らしい!とも思えてきます。

ドイツ国籍取得の条件とメリットについて

成人の場合ですが、これからドイツ国籍を取得しようと考えている場合にはどのような条件が必要となるのでしょうか。

1)8年以上のドイツ在住歴と永住ビザの所有

2)ドイツ語能力の証明(「B1」レベル以上)

3)一定の経済力を証明できること

4)民主主義制度の尊重を表明すること

5)過去に犯罪歴や刑罰が無いこと

6)国籍取得テストに合格すること

などが条件となっています。

ちなみに、6)のテストは、以前の記事内で書いた通称「帰化テスト」(Leben in Deutschland)の事で、2008年9月から新たに義務づけられました。

このテストでは、ドイツの歴史・政治・地理・文化などのドイツに関する一般的な知識に加えて、居住州の簡単な知識に関する310の想定質問の中から無作為で抽出した33問が出題され、選択方式で17問以上正解すれば合格となるため、不合格者はほとんどいないと言われています。

つまり・・・結構簡単!(笑)

ちなみに、子供の場合では、両親または片親が8年以上ドイツに合法滞在しており、その子供がドイツで産まれた場合には、出生時にドイツ国籍を取得できます。

また、その子供が、21才までに8年間をドイツに居住した、あるいは6年間ドイツの学校に通った場合には、二重国籍が認められています。

ドイツ国籍取得についてはこちらの「ドイツ国籍の取得」公式ホームページを参考にしてください。

さて、成人が、ドイツ国籍を取得するメリットは、

1)ドイツの政治に参加することができる(選挙権の取得、被選挙権の取得)

2)(永住)ビザを更新する必要が無い

3)他国で緊急事態に遭遇した場合にドイツ大使館を頼ることができる

事が大きいと思います。

1)に関しては、もう10年以上ドイツに住んでいて、日本へもしばらく帰っていないし、日本に家族も親戚も友人もほとんどいなくなって疎遠になってしまったし、ドイツに税金を納めているからドイツの選挙に参加したいと思う方もいらっしゃることでしょう。

2)は、パスポートの有効期限が来るまでは永住ビザは更新の必要はありませんが、あの嫌~な、移民局へ行く必要は無くなります。

3)ですが、例えば有事の時、今回のような未曽有の事態(コロナ禍の時)等に、ドイツ政府のサポートにより、優先的にドイツへ帰国することができますね。

個人的にはこの上記3つしかメリットは思いつきませんので、他にこれもある!と思う方がいたら教えていただきたいです。

ちなみに、日本人の場合、何年日本国外に住もうと日本の選挙への投票権利はありますが、ドイツの場合はドイツを10年以上間離れると、ドイツ国籍者であっても選挙権は喪失します。(ブラジル人のクラスメートも、ブラジル国籍であっても一定期間ブラジルを離れると選挙権が喪失されると言っていました)

逆に、その国の国籍を持っていなくても、数年間居住し、税金を納めていると選挙権が与えられる国も世界にはあるので、その国の考え方って興味深いなあと思いますよね。

ここは、色々な意見があり、人によって考え方も違いそうです。

では、次はデメリットを見ていきましょう。

ドイツ国籍取得のデメリット

私のように日本生まれ日本育ち、見た目もアジアンな自分のような成人が何らかの理由でドイツ国籍を取得する場合のデメリットを考えてみます。

と、いうよりも、「日本国籍を放棄した場合のデメリット」ですね。

1)自分のアイデンティティがわからなくなる

2)再度日本で仕事や定住したい場合に日本のビザが必要になる

3)日本の選挙権が無くなる、もちろん被選挙権も無くなる

4)日本人として日本の年金を払い続ければ将来日本の年金を海外で受け取ることも可能だがドイツに帰化したらその可能性も無くなる

5)子供が生まれた場合、子供への選択肢の幅を広げてあげることができるが、それができなくなる

もっと色々とあるかもしれませんし、上記は私が考えるメリットですので、他の方には「そんなのどうでもいいよ」と、日本国籍をキープすることにメリットを感じない方もいる事でしょう。

ちなみに私達には子供はいません。

日本国籍をキープすることについて個人的に思う事

Source: bluebiz

理由はいろいろありますが、私は自分を日本人だと思っていて日本人のアイデンティティを大事にしていることが日本国籍をキープする一番の理由です。

日本のこういうところが嫌だな~と思う事もありますが、総合的に見て日本ってとってもいい国です。

また、ドイツ国籍を取ればEUでの就業・就職・行き来などが楽に行え、恩恵が受けられると考えられている方もいるようですが、ドイツの永住権を取得すればこれはEU国民とほぼ同じ待遇が受けられます。

先日、「ドイツの永住権を申請したら意外とアッサリ受理された?!」で書いたのですが、今年の夏にドイツの永住権を申請した時に、担当者の不機嫌なおじちゃんに確認したら、そう言われました。

(そういえばあのおじちゃん、私の永住権申請の手続きを忘れていたらしく、なんと実際のカードを受け取るまでに2か月もかかってしまいました!怒、日本なら忘れてたとかありえない!)

つまり、私にとっては選挙権がないだけでドイツ国籍を取得するメリットは全くありません。

ドイツの永住ビザを取得すれば、EU市民とほぼ同等(完全に同等だとは思っていませんが)に扱われますので、日本国籍で問題がある事の方がむしろ少ないです。

考え方によっては、ドイツと言う国は外国人に対して、非常に寛容な国であり、ドイツ政府が外国人をドイツ人に帰化させたい理由も色々あるはずですが、外国人にとって居心地の良い環境が整っているという事を考えると、他の国からドイツにに住みたいと移住してくる人が多いことも事実だと思います。

個人レベルでは、ドイツ語ができないから悪い対応されたとか差別を受けたとか個人的な不満はあるとは思いますが、ドイツの法律上では外国人も非常に守られている人権意識が高い国の一つであると思うので、どうしてもドイツの選挙権が欲しいという方は別ですが、個人的には帰化するメリットを全く感じません。

ドイツで何かあったときに日本人であれば日本大使館へ助けを求める事も可能ですしね!

逆に言うと、日本という国はまだまだ外国人が住みやすい国とは言いにくいのではないでしょうか?

日本国籍を放棄した後に日本で高度な医療を受けたい場合もそうですし、日本で身分を証明するものが無くなるわけですから、国籍放棄した後にレンタルビデオさえも借りれなかった・・・なんていう話も聞いたことがあります。(今時レンタルビデオは借りないか?!(笑))

しつこいようですが、アイデンティティに関しては、ドイツ人の夫と旅行に行って「Where did you come from?」の質問に対し「I’m from Germany」と言うと、人によっては「僕が聞いてるのはそんなことじゃない、君は『本当はどこ出身なの?』という事だよ」とも言われたことがあるので、面倒くさいし、日本人だ、と言った方が自分もすっきりします(笑)
※それならWhere are you from?と聞いてほしいのですが・・・苦笑

そもそも論で、私はドイツ人になりたいとも思ってないし、ドイツのパスポートには全く興味がないです(笑)

日本のパスポートの方が絶対カッコイイしメリットがありますから!w

唯一少し面倒くさいのが、主人と一緒に旅行してドイツへ帰国する時に「EU市民自動ゲート」を通れない(?あえて通ったことはないのですが)ことでしょうか。(※2024年追記:こちらは日本パスポートでもゲートを通れるようになりました!)

ただし、これも、はねうさ夫と一緒だったら、一緒にEU市民の列に並ぶことができるので(ここは日本と違って特に文句は言われない)、そんなに大変ではありません。

では、はねうさ夫はどう思っているのか質問してみました。

「SNSで読んだんだけど、日本人の女性がドイツ人の夫さんからドイツ国籍を取得するように促されているらしいんだよね~、どう思う?」と。

そしたら彼はこう言いました。

「僕は君がドイツ国籍を取ることは反対だよ。以前とっても悲しい記事を読んだことがあって、フランスに住む日本人女性が夫と死別して日本へ帰りたい時に、すでにフランス国籍を取得していたから帰れなかった(つまり本帰国できず)っていう話なんだ。

そのパートナーにドイツ国籍を取らせたがってる男って、自分に自信がないんじゃない?何かあったら奥さんに日本へ逃げられちゃうかもとか、または女性を自分の思い通りにしたいと思ってる男とか・・・結構そういう風に女性にプレッシャーかける男っているんだよね。

自分にドイツの家族や友達がいるのと一緒で、君にも日本に家族や友人がいて、何よりドイツ国籍を取ったところで君は『日本人』というアイデンティティがあるんだから、それをキープして欲しいと思う。

選挙には参加できないけど、ドイツの永住権でほとんどドイツ人と同じことができるんだから、それでいいんじゃない?」

はい!私もまったく同じく思います!!(笑)

死別だけでなく離婚の可能性だって無きにしも非ずですからね(苦笑)

もちろん、ドイツに長く住む方で「日本国籍を持っている意味を感じない」という方がいれば、それでいいと思います。

私は、ぶっちゃけ「ドイツに骨を埋める覚悟で夫と結婚してドイツへ来た」けど、本音は「最期は日本で骨をうずめたい!」というところ。

とは言え、未来のことは誰にもわかりませんので、どうなるかはわかりませんが、私は祖国の国籍を放棄するつもりはありません。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは!ドイツ在住30年のK子です。5年前に離婚し、今はシングルライフを満喫しています(とは言えコロナで何も出来ませんが)。私は結婚のためではなく、元々ドイツが好きで一人でやって来ました。ここで骨を埋めるつもりです。そんな訳でいろいろネットサーフィンをしていて、このサイトにたどり着きました。確かにはねうささんが書かれている通り、選挙権がないだけで特に不便は感じていません。そうですね、この件は暫く保留にしておきます。ありがとう!

    • K子さん、こんにちは!
      在独30年の方からコメント頂けるとは感激です!
      シングルライフの満喫、いいですね^^
      今後世界の動向がどうなっていくのか不透明な部分もあるので、保留もいいと思います。

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