こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。
私がエドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)を好きになったきっかけは、実はノルウェーではなく東京でした。
かなり前のことですが、母と一緒に上野で開催されたムンク展へ行ったことがあります。
当時の私は、ムンクについて特に詳しかったわけでもなく、「《叫び》って有名だし、せっかくだから見ておこう」くらいの気持ちでした。
むしろそれまでは、ムンク=《叫び》=ちょっと怖い絵というイメージしかありませんでした。
ところが、実際に作品を見て、ムンクがどんな人生を送り、なぜあのような絵を描くようになったのか、《叫び》にはどんな背景があるのかを知るうちに、印象が変わりました。
「あれ?ムンクってすごく面白いかも」と、一気に惹き込まれてしまいました。
ちなみに母はその展覧会で気に入って《叫び》のポストカードまで購入しました。
そんな経緯があったので、今回ノルウェー旅行でオスロへ行くことが決まったとき、私の中でMUNCH(ムンク美術館)は、絶対に外せない行くべき場所だったのです。
実際に行ってみると、《叫び》はもちろん素晴らしかったのですが、個人的に予想以上に感動したのがムンクの版画・木版画のコレクションです。
さらに、現地に住む友人から、「ムンクが好きなら国立美術館にも行った方がいいよ。そっちにも《叫び》があるから」と教えてもらい、そちらにも行ってみたら…これがまた最高でした♪
この記事では、MUNCHの料金・営業時間・所要時間などの基本情報から、《叫び》3種類を見るコツ、ムンクの人生と《叫び》がなぜ有名なのか、個人的に感動した版画展示、カフェ、そしてMUNCHと国立美術館の違いまで、実際に訪れた体験をもとに紹介します。
MUNCH(ムンク美術館)とは?

MUNCHは、ノルウェーを代表する画家エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)=通称ムンクの作品を中心に展示している美術館です。
現在の建物は2021年にオープンしました。
オスロ中央駅から徒歩圏内のBjørvika(ビョルヴィカ)地区にあり、すぐ近くにはオスロ・オペラハウスがあります。
フィヨルドに面したウォーターフロントにモダンな建築が並ぶエリアで、個人的にはこの立地もかなり好きでした。
MUNCHは13階建てで、世界最大規模のムンク・コレクションを所蔵しています。
《叫び》だけでなく、絵画、版画、素描、写真など、ムンクの幅広い制作活動を見ることができます。
はねうさぎコレクションだけでなく、建築も面白いです。
とにかく素晴らしい美術館でした!
「有名な《叫び》を1枚見るための美術館」というより、ムンクという一人の芸術家を丸ごと知る場所という印象です。
MUNCHの料金・営業時間【2026年最新】

2026年9月現在の通常料金は、大人が10:00~18:00入場で280 NOK、18:00~21:00入場なら200 NOK。25歳未満は100 NOK、17歳以下は無料です。
営業時間は、日~火曜日が10:00~18:00、水~土曜日が10:00~21:00となっています。
MUNCHは希望時間に確実に入場したい場合、事前予約を推奨しています。
水~土曜日なら、18時以降は通常の大人料金より安く入れるのはちょっと嬉しいポイント。
さらに現在は毎月第1水曜日の18:00~21:00が無料ですが、7~9月は対象外です。
| 区分 | 入場料 |
|---|---|
| 大人 10:00~18:00 | 280 NOK |
| 大人 18:00~21:00 | 200 NOK |
| 25歳未満 | 100 NOK |
| 0~17歳 | 無料 |
制度や料金は変更される可能性があるので、旅行前には公式サイトで最新情報を確認してください。
はねうさぎ大人で約4,700円、約26ユーロ!ノルウェーの美術館、やっぱり安くない(苦笑)
でもMUNCHは「ここは絶対行く!」と最初から決めていたので、私は迷いませんでした。
MUNCHの所要時間は?2~3時間以上みておくのがおすすめ

《叫び》だけを見るのであれば、それほど時間はかかりません。
でも、せっかくMUNCHまで行くなら、私は少なくとも2~3時間程度は確保するのがおすすめ。
理由のひとつが、《叫び》の特殊な展示方法です。
MUNCHには3種類の《叫び》がありますが、3点同時には展示されません(この後説明します)。
さらに、ムンクの絵画だけでなく、木版画、巨大作品、ムンクの人生を紹介する展示など複数のフロアがあるため、作品をきちんと見ていると意外と時間がかかります。
2026年現在、常設系展示として「Infinite」「Monumental」「Shadows」「Up Close」「Horizons」などが公開されています。
私は「《叫び》を見たら終わり」どころか、むしろ他の展示でどんどん時間を使って、結果的には3時間以上いたと思います。
MUNCHには《叫び》が3種類ある!

ここは、MUNCHへ行く前にぜひ知っておいてほしいポイントです。
実は、《叫び》は「世界に1枚だけある絵」ではありません。
はねうさぎお恥ずかしながら、私も実際にオスロへ行くまで知りませんでした…
ムンクは同じモチーフを何度も描き、絵画、クレヨン画、パステル、版画など、複数の《叫び》を制作しています。
MUNCHで展示対象になっているのは次の3種類。
- 1910年頃のテンペラ・油彩による絵画
- 1893年のクレヨン画
- 1895年のリトグラフ(版画)
です。
実際の展示室は《叫び》目当ての人でかなり混んでいて、作品の前で長時間じっくり鑑賞するというより、みんな順番に写真を撮って次の人に場所を譲るような雰囲気でした。
私自身、その場では「絵画版は迫力がある」「版画版は意外と小さくてシンプル」というくらいの印象だったのですが、旅行後に撮った写真を見返してみると、線の違いや色の使い方など、現地では気づかなかった部分が見えてきました。
もちろん、美術館では作品そのものを見るのが一番!
ですが、混雑している場合は写真を残しておくと、あとからもう一度ゆっくり見直すことができるのも面白いです。
《叫び》は一度に1種類しか見られない

MUNCH所蔵の絵画版。テンペラと油彩で厚紙に描かれています。 ©haneusagi.com
そして面白いのが、その展示方法です。
MUNCHでは3種類の《叫び》のうち、常に1点だけを展示し、残りの2点は暗所で休ませています。
なぜそんな面倒なことをするのかというと、保存のためとのこと。
MUNCHの《叫び》はいずれも紙や厚紙といった光の影響を受けやすい素材でできているため、長時間展示すると色や素材が劣化してしまいます。そのため科学的な保存調査をもとにローテーション展示されています。
私が訪れたときは、たしか30分程度ごとに作品が切り替わっていました。
はねうさぎ《叫び》の展示エリアには警備員さんがいるので、質問したらローテーションで見れると教えてくれました。
そのため私は、
《叫び》を見る
→ 他の展示を見る
→ また《叫び》の場所へ戻る
→ 次の作品を見る
→ また別のフロアへ
→ 再び戻る
という感じで回りました。
現在もローテーション展示自体は続いていますが、公式サイトでは固定の切り替え時間までは案内していないので、3種類すべて見たい場合は当日の表示を確認するのがおすすめです。
はねうさぎ「《叫び》を見た!じゃあ次!」と帰らないでくださいね!
同じモチーフでも3種類を見比べると、かなり印象が違って面白いです。
私が見た順番は、絵画版 → リトグラフ版 → クレヨン版でした。
最初に見た絵画版は、色のうねりと迫力が強くて「これが《叫び》か」とかなり印象的。
次のリトグラフ版はモノクロでサイズも小さく、正直その瞬間は少し地味に感じました。
そのあとに見たクレヨン版は、再び色があり、線の勢いも強くて、版画とはまた違う生々しさがありました。
ただ、後から版画フロアでムンクの版木や制作方法を詳しく見ると、リトグラフ版の見え方も変わりました。
最初は「シンプルだな」と思った版画も、ムンクが版画という技法をどれだけ工夫し、広めていたかを知ると、別の面白さが見えてきます。
そもそもムンクってどんな人?

MUNCH所蔵のリトグラフ版。絵画版やクレヨン版に比べると小さくモノクロで、最初はかなりシンプルな印象
《叫び》の背景を知るには、ムンクの人生を少し知っておくと作品の見え方がかなり変わります。
エドヴァルド・ムンクは1863年生まれ。
5歳のときに母を結核で亡くし、14歳のときには姉ソフィーも結核で亡くしています。
ムンク自身も幼少期は病弱で、冬の間ずっと学校へ行けず、自宅で過ごすことが多くありました。その時間に絵を描き続け、17歳のときには日記に「画家になると決めた」と記しています。
はねうさぎ17歳で、画家になる!と決めて、その後あれだけ実験を重ねて作品を作り続けているのを見ると、単に感情の勢いで描いていた人では全然ないのがスゴイところ。
この幼少期の病気や身近な人の死は、後の作品にも大きく影響しました。
代表作の《病める子》も、結核で亡くなった姉ソフィーの記憶と結びついています。
1889年にパリへ渡った直後には父親も亡くなり、ムンクは再び大きな喪失を経験します。
その後、外の世界を写実的に描くというより、不安、孤独、愛、嫉妬、病、死といった、人間の内側そのものを描く方向へ進んでいきます。
1892年、ベルリンで開かれたムンクの個展は、作品が「未完成のようだ」「絵画への侮辱だ」と当時の保守的な画家などから批判され、わずか1週間で閉鎖されました。
ところがムンク本人は落ち込むどころか、「これ以上の宣伝はない」と考え、その後この“炎上”を利用してドイツ各地で作品を展示。結果的に名前を広めることになります。
はねうさぎ予期せぬ炎上を見事にマーケティングへ変えた人だったのかも…
そして、この頃に《叫び》《マドンナ》《吸血鬼》など、現在最も有名な作品群が生まれました。
なぜムンクの《叫び》はこんなに有名なの?

《叫び》がここまで有名になった理由のひとつは、一度見たら忘れにくい強烈な構図にあります。
年齢や性別がはっきりしない人物が耳を塞ぎ、背景まで大きくうねる姿は、特定の誰かではなく、誰もが感じる不安や恐怖を象徴するように見えます。
私も昔は、《叫び》って「海辺の橋の上で、怖い顔をした人が叫んでいる絵」だと思っていました。
でも作品の背景を知ると、ちょっと違って見えてきます。
《叫び》のモチーフは、ムンクが友人2人と夕暮れ時に歩いていた際の体験から生まれたと考えられています。
夕焼けに染まった空を見たムンクは、突然強い不安に襲われ、「自然を貫く叫び」のようなものを感じたことを文章にも残しました。
つまり中央の人物は、「叫んでいる人」ではなく、「叫びを聞いて耳を塞いでいる人」とも解釈できるのです。
後ろを歩く2人の友人は平然としているのに、手前の人物だけが圧倒的な不安に包まれていて、同じ場所にいても、ある人には何でもない世界が、別の人には耐えられないほど不安に感じられるという場面です。
私はこの背景を知ったとき、《叫び》が一気に「怖い絵」ではなくなりました。
はねうさぎそして、色使いなどもノルウェーを実際に旅行してみて腹落ちする部分があり、とても感慨深かったです。
《叫び》は「人間の不安」のアイコンになった

多色クレヨンで厚紙に描かれたMUNCH所蔵版。絵画版とはまた違う、線の強さが印象的。 ©haneusagi.com
《叫び》が世界的に有名になった理由は、構図の強烈さだけではありません。
ムンクは《叫び》を絵画だけで終わらせず、1895年にはリトグラフ版も制作しました。
版画なら同じモチーフを複数制作・流通させることができるからです。
版画によって同じイメージが広く流通し、その後は広告や映画、ポップカルチャーでも繰り返し引用・再解釈され、「不安」や「恐怖」を表す世界的なアイコンになっていきました。
MUNCH自身も《叫び》を「不安の普遍的な象徴」と位置づけています。
😱←この絵文字を見ても、なんとなく《叫び》を連想しませんか?(笑)
それくらい、美術作品の枠を超えて私たちの視覚文化に入り込んでいる作品なんだと思います。
私がMUNCHで特に感動したのは「版画」

《叫び》はもちろん素晴らしかったのですが、今回MUNCHへ行って、私が予想以上に惹かれたのがムンクの版画でした。
美術館の7階には「Edvard Munch Up Close」という木版画を中心とした展示があります。
MUNCHによると、ムンクは30代で版画に取り組み始め、やがて版画は彼の制作活動の重要な一部になりました。
現在の「Up Close」では約20点の版画が、それぞれ対応する実際の版木と一緒に展示されています。
展示解説によれば、ムンクが木版を始めたのは33歳。
そこから短期間でさまざまな版画技法を身につけていったそうです。
ムンクの版画作品の構図と色使いが本当にすごい

私は版画を見ながら、何度も「この人、本当に構図がうまいなぁ」と思いました。
人物をどこに置くか。
どこを空白にするか。
色をどこまで使うか。
何色と何色を組み合わせるか。
一見とてもシンプルなのに、バランスがいい。
色数が少ない作品でも、印象にしっかり残ります。

さらに木版画では、木目や木そのものの不均一さも作品の一部として利用していました。
きれいにコントロールするのではなく、予測できない素材の特徴まで表現に取り込む。
MUNCHも、木、紙、インクと作家との偶然的なやり取りが、ムンクの木版画の大きな特徴だったと説明しています。
ここを見て、私はさらにムンクが好きになりました。
完成作品だけじゃない!実際に使われた版木も展示

この美術館内での展示が面白いのは、完成した版画だけを壁に並べているのではなく、ムンクが実際に使った版木そのものまで見られることです。
はねうさぎ何度も使われた版木も残っています。
版画だけを見ているとシンプルに見える作品でも、版木と見比べると制作方法の工夫がよく分かります。
たとえば《Encounter in Space》では、人物ごとに版木を切り分け、それぞれ別の色をつけて、ジグソーパズルのように再び組み合わせて刷るという方法が使われていました。

男女は身体が触れそうなほど近くに描かれているのに、実際には接していません。
その「近さ」と「隔たり」が、絵の内容だけでなく、版木そのものを分割する技法によっても表現されているのがとても興味深かったです。

私はそれまで、ムンクを「感情を強烈に描く画家」というイメージで見ていました。
でも実際の版木と完成作品を見比べてみると、色の配置、人物の距離、余白、木目の使い方までかなり考えられていることが分かります。
一方で、彫られ、インクまで付けられているのに、完成した刷りが1枚も見つかっていない謎の版木もあります。
「ここまで作ったのに、なぜムンクはやめたんだろう?」と想像させる展示になっていました。

さらに《Kiss IV(接吻 IV)》の版木には、ちょっと笑えるエピソードも紹介されていました。
それは、1901年に、ムンクがノルウェーからベルリンへ版木を送ったところ、何枚かが行方不明になったと思い込み、運送会社や新聞社に抗議し、弁護士にまで相談していたのに、後になって、実は間違って自分のノルウェーの家へ送られていただけだったことが分かったというものです(笑)
はねうさぎムンクが結構人間臭いと知って、興味深かったです。
自分でもムンクの技法をちょっと体験できる

版画の展示エリアには、見るだけでなく、自分で少し体験できるコーナーもありました。
展示されている版木をヒントに、模様を組み合わせたり、自分なりの作品を作ったりできます。
美術館というと「触らない・静かに見る」というイメージがありますが、実際の制作方法を少し体験すると、
「ムンクはどうやってこの絵を作ったんだろう?」という視点で作品を見るようになるのが面白かったです。
ムンクの作品は「何を描いたか」だけじゃない

展示で印象に残った解説のひとつが、絵の表面についての説明でした。
ムンクは完成した絵の内容だけでなく、絵を描くという行為そのものを作品の中に残すことにも関心を持っていたそうです。
絵の具を何度も削っては塗り、チューブから直接厚く置いたり、逆に薄めて垂らしたり。
筆の跡も隠さない。
そのため作品によっては、一見するとスケッチや未完成作品のように見えるものもあります。

でも実物を近くで見ると、「雑に描いた」のとは全然違うのです。
線や色、余白がものすごく印象的なんです。
私はこの説明を読んで何が描かれているかだけじゃなく、“どう描いたか”まで作品なんだという見方ができるようになったのが面白かったです。
ムンクが描いた「孤独」

もうひとつ印象に残った展示テーマが、ALONE(孤独)です。
ここで扱われていた「孤独」は、単純に一人暮らしをしているとか、一人きりでいるという意味だけではありません。
人に囲まれているのに、自分だけ外側にいるように感じることを言っています。
逃れたいのに逃れられない孤立感。
人生のある時期だけではなく、誰にでも突然訪れる「ひとりだと感じる瞬間」。
展示では、ムンクにとって芸術を作ること自体が、「ひとりでいること」と深く結びついていたと説明されていました。
これを読んでから《叫び》《不安》などを見ると、怖い絵ではなく、人間なら誰でも一度くらい感じたことのある、言葉にしにくい感情を絵にした作品に見えてきます。
私が昔、東京の展覧会でムンクの印象を大きく変えられた理由も、きっとここだったんだと思います。
《叫び》以外にも見てほしい作品がたくさん

MUNCHには、《叫び》以外にも《マドンナ》《吸血鬼》《太陽》など、ムンクを代表する作品が数多くあります。
特に面白いのは、ムンクの人生を通して作品を見ると、ずっと「暗くて怖い絵」ばかり描いていたわけではないこと。

巨大な画面いっぱいに光が広がる、ムンクの代表的な後期作品。鮮やかな色と生命力あふれる構図が印象的。
「LOVE(愛)」をテーマにした展示エリアも興味深かったです。
ムンクは恋愛や男女関係についても、単純にロマンチックなものとして描いていません。

ムンクは愛を単にロマンチックなものとしてではなく、欲望、嫉妬、不安、孤独などが入り混じる複雑な感情として繰り返し描いていました。
若い頃には病気や死、不安、恋愛、嫉妬などを扱った作品が目立ちますが、後年には色彩も明るくなり、《太陽》のような非常に力強い作品も制作しています。
《Cupid and Psyche》も印象に残った作品のひとつです。題材は、西洋美術で繰り返し描かれてきたキューピッドとプシュケの神話です。

すぐそばにいる男女なのに、どこか心理的な距離を感じさせる作品。大胆な色使いと筆致も印象的。©haneusagi.com
当時のヨーロッパの観客にとっては、タイトルだけでも「愛の物語」を連想しやすい題材だったはず。
ところがムンクが描いた二人は、ロマンチックな恋人同士というより、すぐそばにいるのにどこか遠い。
誰もが知る古典的な物語を借りながら、人間関係の不安や距離に読み替えてしまうところも、ムンクの面白さだと感じました。
こういう作品を見ると、ムンクが描こうとしていたのは「美しい恋愛」ではなく、人と人との間にある緊張や孤独、すれ違いまで含めた感情だったのかな、と考えさせられました。
MUNCHでは絵画だけでなく、版画、素描、写真、巨大作品など幅広い作品を見ることができるので、《叫び》の画家というイメージだけで帰るのは本当にもったいないです。
晩年の作品を見ると「暗い画家」というイメージがまた変わる
ムンクというと、《叫び》や《不安》《病める子》など、暗く重い作品を思い浮かべる人が多いと思います。
でもMUNCHで生涯を通して作品を見ると、晩年の絵はまた印象が違います。
53歳でオスロ郊外に住居をもってからは、庭や森、果樹、馬、季節の風景などを、驚くほど鮮やかな色で描いていました。
「ムンクって、こんなに明るい色を使う画家だったんだ」と、私はここでも少し驚きました。
一方で、晩年の自画像では自分の老いから目をそらしていません。
《時計とベッドの間の自画像》では、老いたムンク自身が、大時計とベッドの間に立っています。

大時計とベッドの間に立つ晩年のムンク。老いや死を思わせる構図とは対照的に、鮮やかな色使い。
時間と、やがて訪れる死を連想せずにはいられない構図ですが、必要以上にドラマチックに描くわけでもないところがムンクらしい。

手前に不思議な黒い形があるなと思ったら、これはムンク自身の影を抽象化したものなのだそう。
若い頃は人間の不安や死を描き、晩年には老いていく自分自身まで題材にする。
だから私は、ムンクの作品はどの時代を見ても「考えさせられる」んだと思います。
企画展もあるので、訪問前にチェック

MUNCHはムンク作品だけを常に同じ形で並べている美術館ではありません。
他の近現代アーティストを紹介する企画展も開催されています。
私が訪れたときには、ポルトガル出身の画家ポーラ・レゴ(Paula Rego)の展覧会が開催されていました。
童話や神話から、女性の権利、権力、抑圧などかなり社会的なテーマまで扱う作家で、ムンクとは時代も国も違いますが、人間の恐怖や内面を表現するという意味で興味深かったです。
この「Paula Rego: Dance Among Thorns」は2026年4月24日~8月2日の開催だったため、現在は終了しています。
訪問時期によって企画展は変わるので、行く前に公式ホームページを確認してみてください。
カフェには《叫び》のスイーツも!

作品を見続けて疲れたら、1階にMUNCH kaféがあります。
私が行ったとき、ショーケースを見て思わず笑ってしまったのが《叫び》の顔をしたスイーツ。
白い《叫び》が大量に並んでいました(笑)
ちゃんと目と口まで付いています。
はねうさぎ面白いし食べてみたい!
でもお値段を見て、写真だけ撮りました(笑)
現在、MUNCHの1階にはカフェとショップ、12階にはレストラン、13階にはバーがあります。

12階のレストランや13階のバーからはオスロ市内やフィヨルドを眺められます。
私が食べ物を買うなら、昼間のちょっとした休憩には1階のカフェが気軽で使いやすそうだと感じました。

なお、この《叫び》のスイーツが常時販売されているとは限らないので、そこは「私が訪れたときのお楽しみ」ということにしておきます。
建物と周辺の雰囲気も良かった

MUNCHは、作品だけでなく立地そのものも楽しめる美術館だと思います。
フィヨルド沿いにあり、すぐ近くにはオペラハウスという立地も良いです。
周辺には新しい建物やウォーターフロントの遊歩道があり、美術館を出てそのまま散策できます。
オスロ中央駅からも徒歩圏内で、公式案内では徒歩約10分。最寄りにはBjørvikaのトラム・バス停や、Munch Bjørvikaのフェリー乗り場もあり、アクセスも便利です。
私はオスロのこのあたりの雰囲気がかなり好きでした。
ベルゲンやフィヨルド旅とはまったく違う、モダンな北欧の首都という感じがあります。
《叫び》は国立美術館にもある!どっちが本物?

オスロ旅行を計画していると、ここで混乱する人もいると思います。
「《叫び》ってMUNCHにあるの?国立美術館にあるの?」
答えは、両方にあります。
そして、どちらかがコピーというわけでもありません。
ムンク自身が《叫び》を複数制作しているため、どちらも本物です。

ノルウェー国立美術館が所蔵しているのは、1893年制作の最初の絵画版《叫び》で、最高傑作のひとつと言われています。
国立美術館にはそのほか、《マドンナ》《病める子》《生命のダンス》《思春期》など重要なムンク作品も所蔵されています。
はねうさぎ教科書レベルの傑作がたくさん!
MUNCHと国立美術館、どっちがおすすめ?

私はもともとMUNCHだけは絶対に行くつもりでした。
ところがオスロ在住の友人から、
「ムンクが好きなら国立美術館も絶対いいよ。《叫び》もあるし」
と教えてもらい、追加で行くことに。
結果、最高でした!!!
どちらか一つしか行けない場合は、目的によって選ぶといいと思います。
ムンクという一人の芸術家を深く知りたいならMUNCH。
一方、1893年の《叫び》を見ながら、ムンクをノルウェーやヨーロッパ美術全体の流れの中で見たいなら国立美術館。

国立美術館にはムンク以外にもさまざまな時代・国の作品があるので、美術館全体としての体験はかなり違います。
でもムンクが好きなら、私は迷わず、時間があるなら両方!と言いたいです。
同じ《叫び》でも違う作品を見比べられるなんて、オスロならではです。
MUNCHへ行く前に知っておきたいこと

最後に、実際に訪れてみて、先に知っておけば便利だったと思うことをまとめると、一番大事なのは時間に余裕を持って行くことです。
《叫び》はローテーション展示なので、3種類を見たいなら1回見て終わりにせず、途中で戻ることを前提に回るのがおすすめです。
また、MUNCHには自分のスマートフォンで利用できるオーディオガイドがあり、現在は日本語にも対応しています。
「私はムンクなんて《叫び》くらいしか知らない」という方こそ、オーディオガイドや展示解説を少し読みながら見てほしいです。
私自身、それでムンクの見え方が大きく変わった一人だからです。
まとめ|《叫び》だけじゃない。MUNCHに行ってさらにムンクが好きになった

《叫び》だけでなく、版画や晩年の作品まで幅広く見ることで、ムンクという画家の印象が大きく変わりました。©haneusagi.com
何年か前に母と上野のムンク展へ行ったときは、「有名な《叫び》を見ておこう」くらいの気持ちでした。
それまでの私にとってムンクは、「なんだか暗くて、ちょっと怖い絵を描く人」でした。
でも作品の背景や人生を知り、人間の不安や孤独、愛や死をどう表現していたのかを知るうちに、すっかり印象が変わりました。
そして今回、ついにオスロのMUNCHへ行けたことは感無量です。
3種類の《叫び》を見比べ、絵画だけでなく版画や実際の版木を見て、ムンクがどれほど制作方法を研究し、色や構図、素材で実験していた画家なのかを改めて知りました。
個人的には、《叫び》以上に版画展示が今回の大きな発見だったかもしれません。
さらに国立美術館へ行き、1893年の《叫び》をはじめ別のムンク作品を見ることができたのも大満足です。
MUNCHは《叫び》を見るためだけに行く場所ではありません。むしろ《叫び》しか知らない人ほど、行った後にムンクへのイメージが変わる美術館だと思います。
そして最後に…
東京の展覧会で母が買った《叫び》のポストカードは、今でも実家のトイレに飾ってあります(笑)
まさか、ノルウェーまで行ってムンクの作品をたくさん見る日が来るなんて、当時は想像もしていなかったけど、オスロまで行くことができて、本当に良かったです。
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今回のMUNCH訪問は、ドイツから4泊5日で巡ったノルウェー旅行の一部でした。
ノルウェー旅行全体の流れや、ベルゲン、フィヨルド観光については以下の記事にまとめています。





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