こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。
ドイツには多くの伝統的な祭りがありますが、その中でも「聖体祭(Fronleichnam)」は、キリスト教に関連したイベントの一つです。
この祝日はドイツの一部の州だけで祝われ、特定の地域でのみ休暇が取られるという特徴があり、私の住むバイエルン州では祝日となります。
さて、「聖体の祝日(Fronleichnam)」とは何なのでしょうか?そして、この祝日では何が行われ、ドイツ人は何をするのでしょうか?
この記事では、ドイツ文化に興味のある方はもちろん、旅行の計画を立てている方にも必見の、聖体祭の歴史や、どのように祝われるのかを詳しく紹介します。
「聖体祭」とは?(独:Fronleichnam/英:Corpus Christi)
聖体祭(ドイツ語:Fronleichnam)は、カトリック教会の重要な祝日で、イエス・キリストの聖体を祝う日です。
この祭りは、通常、復活祭から50日目の日曜日(聖霊降臨日)の次の木曜日と定められており、特にドイツを含むカトリックが強い地域で盛大に祝われます。
復活祭(イースター)が「春分後の初満月後の日曜」と決められているため、復活祭(イースター)と連動して、この「聖体の祝日」も毎年変動します。
バイエルン州はカトリックの影響が強い地域ですから、祝日になるのですね。
聖体祭の起源と歴史
聖体祭の起源は13世紀にさかのぼります。
ベルギーのリエージュで修道女ジュリアン・デ・コルニヨンが神秘的な幻視を経験し、聖体を祝う特別な日を設けるように教皇ウルバヌス4世に提案しました。
1264年、教皇ウルバヌス4世は聖体祭を全カトリック教会に導入し、これが現在の聖体祭の始まりとなったと伝えられています。
「聖体の祝日」の語源は、このお祭りのドイツ語名である「Fronleichnam(フロンライヒナム)」は、「vronlicham」というドイツ語に由来していると言われています。
「vron」は、「主」と言う意味を表し、「lord」 と「licham」は「体」を意味し、直訳すると「神の体」という意味です。
英語名の「Corpus Christi」はラテン語に由来しており、ドイツ語と同じ「キリストの体」という意味を持っています。
さすが?!英語とドイツ語は従弟言葉と言われるだけの事はあって、これは想像が付きやすいです。
祝日の意義と宗教的背景
聖体祭は、イエス・キリストがあの有名な「最後の晩餐」で「パンは私の体、ワインは私の血と思って喫しなさい」と述べ、弟子達にパンと赤ワインを少しづつ与えたことを記念する祝日です。
キリスト教では、これにちなんで霊魂の糧とするために、パン(聖餅と言われるおせんべいのようなモノ)とワインを喫する儀式を、イエスの体「聖体」の受容、つまり「聖体拝領」としています。
この行為はカトリック信仰の中心的な教義の一つとなっています。
聖体祭の日には、キリストの聖体を象徴するホスチアを掲げた行列が行われ、信者たちはこの行列に参加して、キリストの犠牲と愛を再確認します。
これらの内容を踏まえ、聖体祭はカトリック教会における信仰の深さと伝統を象徴する重要な祝日です。
「聖体祭」はいつ?ドイツのどの州が祝日に適用される?
聖体祭(Fronleichnam)とは、キリスト教・カトリックの宗教行事とされている為、ドイツ国内でもカトリック教徒の多い州が祝日となります。
また、基本的にカトリック国のブラジルなどの南米の一部の国や、オーストリア、クロアチア、ポーランド等も祝日となるようです。
ドイツでは、以下の6州で祝日となります。
- バイエルン州
- バーデン・ヴュルテンベルク州
- ヘッセン州
- ノルトライン・ヴェストファーレン州
- ラインラント・プファルツ州
- ザールラント州
また、ザクセン州とテューリンゲン州のいくつかの自治体で祝日となります。
はい、ドイツでは市町村ごとに祝日が違う事があります・・・「うちの〇〇市はカトリックが多いから祝日に・・・」なんてことがあるのです。
聖体祭は、復活祭から50日目の日曜日(聖霊降臨日)の次の木曜日と定められており、移動祝祭日扱いとなります。
聖体の祝日は、三位一体の主日の後の木曜日に、また国によってはその後の日曜日に祝われる。
三位一体とは、キリスト教において 父・子・霊 の三つが「一体」であるとする教えの事。
復活祭(イースター)は、毎年変動することは過去の記事でも書きましたので、イースターに関連するキリスト教系のイベントは、全て毎年変動することとなります。
地域ごとの特色ある祝祭
聖体祭はドイツの多くの地域で祝われていますが、地域ごとに独自の特色と伝統があります。
例えば、カトリック色の強いバイエルン州やバーデン=ヴュルテンベルク州では特に盛大に祝われることで知られています。
地域によっては、美しく装飾された祭壇や特別な衣装を着た参加者たちが見られ、地元の文化と宗教的な儀式が融合した独特の祝祭風景が広がります。
ドイツでの「聖体祭(Fronleichnam)」の祝い方
はねうさ夫に、「Fronleichnamってドイツ人は普通何するの?」と質問してみました。
「ぼくの父親は毎年教会へ行ってたけど(私の義理父はカトリック、義理母はプロテスタントです)、特に変わったことはしないよ。例年であれば『プロセッシオ~ン』があるけど・・・」
「プロセッシオ~ン?」・・・Prozessionと記載するらしいです。
英語と本来の意味が同じかどうかはわかりませんが、procession(プロセッション)は行列やパレードのような行進?のイメージなので、調べてみました(参照:https://www.iamexpat.de)。
最も一般的なのは、聖母マリアや聖人の像、装飾された紋章などを教区民が担いで街中を練り歩くことでです。聖職者とそれに準ずる人々は天蓋の下、祝福された聖餐を携えて行列を先導します。
白い服を着た子供たち、その地元を特徴づける(民族・地域)衣装を着た大人たちが行列行進をし、道を練り歩きます。
各地のユニークな祝祭行事
バイエルン州のオーバーアマガウ
この地域では、聖体祭の日に村全体が一体となって、特別な行列や劇のパフォーマンスが行われます。
装飾されたフロートや伝統的な民族衣装を着た人々が行進し、祭壇が飾られた広場で祈りと賛美歌が捧げられます。ケルンの大聖堂周辺
ケルンでは、聖体祭の行列が大聖堂から始まり、聖職者は、キリストの体として崇拝されたホストとともに、100以上の聖体顕示台を運びながら道を練り歩き、市内を巡ります。
行列には数千人の信者が参加し、花で装飾されたストリートカーペットが敷かれます。
ケルンの「教区」のサイトを調べてみましたが、かなり規模が大きいです!
ケルンの聖体祭は、宗教行事としてだけでなく、観光イベントとしても人気があります。フランクフルトの聖体祭
フランクフルトでは、聖体祭の行列がマイン川沿いを進み、ゴシック様式の聖堂で大規模なミサが行われます。
市内の主要なランドマークを巡るこの行列は、地元住民だけでなく、多くの観光客を魅了します。ヘッセン州の北部の街フリッツラーの聖体祭
ヘッセン州の北部では、前夜から8つの大聖堂の鐘が鳴らされ、大砲が3回発射される「Katzenkoppschießen」と呼ばれる伝統行事が行われるそうです。(写真以下イメージ)
5.黒い森の聖体祭
黒い森やシュヴェービッシェ・アルブ(Schwäbische Alb)地域では、生花で作られた絨毯が行列のルートに並び、中には1.000メートル近い長さのものもあるそうです。(以下写真イメージ)
観光客におすすめのスポット
バンベルク
- バンベルクの聖体祭は、旧市街の美しい景観と中世の雰囲気が特徴で、Prozessionでは、18人の男性が大きな十字架を持って街中を練り歩くことで有名です。(上写真以下イメージ)
ここでは、川沿いの行列と橋の上の特別な祝祭ステージが見どころです。
観光客は、バンベルクの歴史的な街並みを楽しみながら祝祭を観覧できます。
- バンベルクの聖体祭は、旧市街の美しい景観と中世の雰囲気が特徴で、Prozessionでは、18人の男性が大きな十字架を持って街中を練り歩くことで有名です。(上写真以下イメージ)
フュッセン
- フュッセンの聖体祭では、アルプス山脈を背景にした行列が見どころです。観光客は、聖体祭の行列を見た後、近くのノイシュヴァンシュタイン城を訪れることもできます。
- フュッセンの聖体祭では、アルプス山脈を背景にした行列が見どころです。観光客は、聖体祭の行列を見た後、近くのノイシュヴァンシュタイン城を訪れることもできます。
レーゲンスブルク
- レーゲンスブルクの聖体祭は、市内中心部の広場で行われ、カラフルな花の装飾と音楽が特徴です。観光客は、レーゲンスブルクのユネスコ世界遺産に登録された旧市街を探索しながら、祝祭の雰囲気を楽しむことができます。
上記のスポットは、聖体祭を体験してみる絶好の場所なので、地域の文化と歴史を深く知ることができますね。
観光客にとっては、聖体祭はドイツの豊かな宗教文化を理解し、地元の人々との交流を楽しむ貴重な機会となるでしょう。
ちなみに、バンベルクは燻製ビールも有名で、通常観光にもピッタリの可愛いバイエルン州の街です。
「聖体祭(Fronleichnam)」の持つ意味はイエスを敬うこと以外にもあるのか?!
この「聖体の祝日(Fronleichnam)」のお祭り風?!の外向的で大げさな行列を行う理由としては、プロテスタントにカトリックの素晴らしさを示すという政治的動機があったとも考えられているそうです。
ローマ・カトリック教会から分離しプロテスタントが誕生した宗教改革の中心人物であったマルティン・ルター(何かの教科書で習いましたよね!?w)は、聖具を使った行列は神への冒涜であり、偶像崇拝であり、キリストの秩序と確立に抵触すると考えており、「聖体の祝日(Fronleichnam)」に対して何度も発言し、「最も恥ずべき祭り」と言及したそうです。
カトリックとプロテスタント。
昔はその派閥というか宗派の違いから紛争や戦争も怒っていますよね(怖い怖い!)
その後、ナチスドイツのの時代には、世俗的な国家の支配者に対する受動的な抵抗の手段としても使われたという事です。
この伝統は今日でも引き継がれており、これらのパレード/行列は、宗教というものが、私的な領域と同様に公的な領域に属していることを指摘するためのものなのかもしれません。
ドイツとキリスト教のつながりは深い・・・
キリスト教徒ではない私にはなかなか理解が難しいですが、ドイツで生活する上でキリスト教の考え方を理解していると、ドイツ人と接しやすくなる(相手を理解しやすくなる?)ような気がします。
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